株式会社労働ジャーナル社は、労務管理や人事労働分野に特化した専門情報を提供する出版社です。
同社が昭和50年代から発行している「労政ジャーナル」は、労働法改正や労働判例、企業の人事労務事例など、実務に直結する情報を網羅的に掲載しており、企業の人事・労務担当者から高い評価を得ています。
本記事では、株式会社労働ジャーナル社の歴史や「労政ジャーナル」の具体的な掲載内容、定期購読のメリットについて詳しく解説します。
また「見本誌が勝手に送られてきた」という疑問への対応方法や定期購読の申し込み手順、労務関連メディア業界の現状と将来性についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
株式会社労働ジャーナル社ってどんな会社?

株式会社労働ジャーナル社は、労務管理分野に特化した専門誌を発行する出版社として事業を展開しています。
一般的な書店での流通を行わず、直接販売という独自の販売形態を採用している点が特徴です。創刊から半世紀近い歴史を持ち、日本の労働環境の変化とともに誌面内容を進化させてきました。

労政ジャーナルの歩み
「労政ジャーナル」の源流は、昭和50年9月に発行体制を強化した「労働ジャーナル」にさかのぼります。当時の日本は戦後復興期から高度経済成長期を経て、安定成長期へと移行する転換点にありました。
労働問題への関心は春闘や大規模な労働争議といったマクロな視点から、企業内部の人事管理や従業員との関係性といったミクロな領域へと徐々にシフトしていきました。働く人々の価値観が多様化するにつれて、人事制度・労務対応・安全衛生管理といった幅広いテーマへの情報ニーズが高まっていきます。
従来の会報形式では対応しきれなくなり、労務管理に特化した専門誌への転換が求められました。昭和58年8月発行の291号において誌名を「労政ジャーナル」へと改めて以降、現在まで継続して発行されています。
株式会社労働ジャーナル社が発行する「労政ジャーナル」の掲載内容

「労政ジャーナル」は、企業の労務管理担当者が業務を遂行する上で必要となる多彩な情報を網羅的に提供しています。
掲載される内容は大きく分けて、行政機関による法改正情報、司法判断の詳細解説、実務に役立つ企業事例、そして統計に基づく客観的なデータ分析の4つの柱で構成されています。

労働行政・法改正の最新ニュース
労政ジャーナルの誌面では「各省庁関連」という独立したカテゴリーを設けて、行政機関が発信する情報を体系的に整理しています。厚生労働省をはじめとして文部科学省など複数の省庁が実施した調査の結果や、各種統計データに基づいた記事が定期的に掲載されているのが特徴です。
取り上げられるテーマは労務管理に直結する内容が中心であり、最低賃金の引き上げに伴って中小企業が利用できる支援制度の紹介なども含まれています。法令改正の動向を迅速に把握できる構成となっており、企業が法令遵守体制を整備する際の重要な情報源として機能しています。
制度変更の背景や影響範囲についても詳しく解説されるため、単なる速報にとどまらない理解を深められるでしょう。
労働判例・裁判例の解説
「労政ジャーナル」において「労働判例」は中心的なコンテンツとして位置づけられており、専用カテゴリーが常設されています。解説付きの判例集はCD-ROM形式でも商品化され、別途販売されています。
誌面で紹介される判例のテーマも、広範囲にわたっているのが特徴です。
- 懲戒免職処分の妥当性を争った事案
- 寒冷地手当を支給しなかった判断の合理性が問われた事案
- 不当労働行為として救済命令が出された事案
- 直行直帰を行う営業職に事業場外みなし労働時間制を適用できるかという論点
- セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを理由とした懲戒処分の有効性
- 有期で結ばれた業務委託契約が労働契約に該当するかという判断
- 警備員の待機時間が労働時間として認められるかという問題
- 過重な業務による精神疾患の発症に関する損害賠償請求
上記のように、実務上重要な最新判例が丁寧に解説されています。
企業の労務管理事例
労務管理の実務に特化した専門誌として、人事制度・労務対応・安全衛生管理など、企業が日常的に直面する課題に焦点を当てた情報提供も行っています。
具体的な掲載内容としては、主に以下が取り上げられています。
- 企業におけるデジタル人材の育成施策の実施状況
- キャリアコンサルティングを提供する仕組みの導入実態
- 介護に関連する休業制度や休暇制度の運用状況
- メンタルヘルス対策および産業保健に関する企業の取り組み状況
- 従業員のスキル向上や人材育成に向けた各社の施策に関する調査結果
- 外国人労働者を雇用する際に企業が抱える課題
実際の企業事例やデータに基づいた記事構成により、読者は自社の労務運営を見直す際の参考材料を豊富に得られるでしょう。
労働統計・データ分析
「労政ジャーナル」は各種調査機関や中央省庁が公表する統計資料を活用して、多面的な視点からのデータ分析記事を提供しています。
「民間給与 Q&A」という固定コーナーが設けられており、読者からの疑問に答える形式で情報が整理されています。
統計データが扱うテーマは多岐にわたり、労働者の意識変化やキャリア観、社会保障制度に対する考え方などの意識調査が含まれるのも特徴です。
| 賃金分野 |
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| 労働時間 |
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| 雇用情勢 |
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株式会社労働ジャーナル社の「労政ジャーナル」を読むメリット


最新の労働判例や司法判断の詳細な解説により企業が抱える労務リスクを早期に発見し、適切な対策を講じる体制を整えられます。
法改正や行政指導の動向をタイムリーに把握できるため、社内のコンプライアンス体制を強化するうえで不可欠な情報源となるでしょう。
定期購読者に対しては電子版のPDF形式による無料配信サービスも用意されており、オフィスや外出先を問わず情報にアクセスできる利便性も兼ね備えています。紙媒体と電子媒体の両方で情報を保管できるため、過去の記事を検索して参照する際にも効率的です。
労政ジャーナルが勝手に送られてくる?断り方とは

「労政ジャーナル」が事前の依頼なく企業や事業所へ届くケースがあり、戸惑いを感じる方もいるかもしれません。
送付の背景には同社の営業方針があり、刊行物を実際に手に取って内容を確認してもらうという狙いがあります。購読意思がない場合でも、適切な対応方法を知っておけば無用なトラブルを避けられます。

営業活動の一環で見本誌を送付
「労政ジャーナル」は、刊行物の内容を広く知ってもらう目的で、全国の企業や事業所に対して無料の見本誌を送付しています。営業施策の一環として実施されており、一年間の継続購読を検討してもらうために複数冊の見本誌が連続して届く場合があるのです。
何冊か見本誌を受け取った事業所に対しては、今後の購読希望の有無を確認する目的で、年間購読申込書を兼ねた振込用紙が同封されて送られてきます。見本誌として提供された刊行物について、代金を請求されたり支払いを求められたりする心配はありません。
振込用紙が届いたとしても、購読意思がなければ支払い義務は一切発生しません。同社としては内容を実際に確認してもらったうえで、購読するかどうかを判断してほしいという姿勢で見本誌を配布しています。
見本誌の送付を断る方法
購読する予定がない場合、届いた見本誌や振込用紙はそのまま処分しても問題ありません。送付自体を停止したい場合には、希望しない旨を同社へ伝える必要があります。
具体的な連絡方法は、以下3つから選択できます。
| 方法 | 手順 |
|---|---|
| 郵便物を受取拒絶して返送 |
|
| 電話またはFAXで直接連絡 |
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| ホームページの専用フォームから手続き |
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辞退の連絡をした後も、発送スケジュールの関係で入れ違いに見本誌や振込用紙が届く可能性がある点は理解しておきましょう。

定期購読の申し込み方法・年間購読料

「労政ジャーナル」は一般的な書店では取り扱いがないため、定期購読は株式会社労働ジャーナル社へ直接申し込む必要があります。
申し込み方法は、以下3つの手段から選択できます。
- 電話での申し込み: 読者係へ電話で直接申し込みができる
- FAXでの申し込み: FAXを利用して申し込み手続きが可能
- ホームページからの申し込み: 公式ホームページの定期購読申込みページから手続きできる

支払い方法については、原則として1年分を前払いする形式が採用されています。
ただし、企業の会計処理や予算の都合により前払いが困難な場合には、後払いや半年ごとの分割払い、四半期ごとの支払いなど、状況に応じた柔軟な対応が可能です。
年間購読料は、送付される振込用紙に記載された口座へ振り込む形式となります。
次年度以降の契約は自動的に更新される仕組みとなっているため、購読を中止したい場合には次年度分の請求書が届いた段階で速やかに申し出る必要があります。
株式会社労働ジャーナル社の業界分析

労務関連メディア業界は、日本の労働環境を取り巻く大きな変革の波の中で重要な役割を担っています。法制度の改正や企業に求められるコンプライアンスの水準が高まる中で、専門的な情報を提供するメディアの存在意義は増しています。
今後も労働環境に関する課題は複雑化していくと予想され、業界全体の展望を理解しておく必要があるでしょう。

労務関連メディア業界の現状
労務関連メディア業界は、日本社会が直面している「働き方改革」という重要な政策課題を背景として機能しています。
日本の構造的な人口減少と深刻な人手不足、そして男性正社員を中心とした従来の雇用慣行や長時間労働の見直しが求められる環境下で、業界の役割は拡大しました。
2019年に施行された「働き方改革関連法」では、長時間労働の是正と多様な働き方の実現、そして雇用形態による不合理な待遇差の解消という2つの大きな柱が掲げられています。
罰則付きの時間外労働上限規制の導入や、同一労働同一賃金の原則に基づく待遇差解消の義務化など、企業が守るべき法規制は著しく複雑化しました。
ハラスメント防止法の強化も進められており、企業はパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントへの対策を組織的に講じる必要性に迫られています。
労務課題が増加する状況において、企業や事業所は法令遵守と労務リスク管理のために、実務に直結する専門的かつ信頼性の高い情報を継続的に求めるニーズが高まっています。
労務関連メディア業界の将来性
労務関連メディアの将来性は、引き続き高い水準を維持すると考えられます。労働環境を取り巻く課題は複合的であり、継続的な議論と対応が必要とされているためです。
現在も労働時間のさらなる規制強化の必要性、中小企業における労使コミュニケーションのあり方、日本企業への「ジョブ型」雇用制度の浸透、そして解雇規制制度の見直しなど重要な論点が残されています。
働き方の多様化が進む中で、テレワークやフレックスタイム制度、副業・兼業の容認など、新しい勤務形態に対応した労務管理の方法が求められています。
法改正への即時対応が企業に求められる時代において、最新の法令情報や実務対応の指針を提供する専門メディアの役割は一層重要になるでしょう。
さらに、企業のDX推進により、労務管理ツールやクラウド型人事システムの導入が進んでおり、専門情報と労務管理ツールを連携させるニーズも高まっています。
「労政ジャーナル」は読者会員向けに電子版のPDF形式によるメール配信サービスを提供しており、デジタル化への対応を進めています。一方で、郵便料金や資材価格の上昇により2024年10月1日から刊行物の価格改定を実施しており、コスト増への対応が業界共通の課題となっているのです。
ジョブリエ編集部まとめメモ

株式会社労働ジャーナル社は、労務管理専門誌「労政ジャーナル」を発行する出版社です。
昭和50年の「労働ジャーナル」から始まり、昭和58年に「労政ジャーナル」へ改題して以降、半世紀近くにわたり企業の労務管理を支える情報を提供し続けてきました。掲載内容は労働行政の最新ニュースや労働判例の詳細解説、企業の労務管理事例や労働統計データ分析と多岐にわたります。
一般書店では取り扱わず、直接販売という独自の流通形態を採用している点も特徴です。年間購読料は63,000円で、電子版PDF配信サービスも提供されており、紙媒体とデジタル媒体の両方で情報を活用できます。
働き方改革やハラスメント防止法の強化により労務課題が増加する中、実務に直結する専門情報の需要は高まっています。法改正への即時対応が求められる時代において、今後も企業の労務管理を支える重要な役割を担っていくでしょう。
会社概要
| 会社名 | 株式会社労働ジャーナル社 |
| 創立 | 昭和50年9月 |
| 代表者 | 代表取締役 村本 雅信 |
| 業種 | 出版業 |
| 事業内容 | 労務管理専門誌「労政ジャーナル」の編集・発行販売 |
| アクセス | 編集部:〒151-0053東京都渋谷区代々木2-23-1 |
| 公式サイト | https://rodo-journal.co.jp/ |
